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先月末に視察へ行って来た神戸市長田区。

位置的には、海と山に挟まれた土地であり、
山の中腹に出来た町、でした。
海沿いの湾岸高速から山側に少し上っただけで、勾配のきつい住宅街になります。


私は、関東平野に住んで長いので
町の中の高低差も、それほど大きくないのが通念でありました。

横浜なんかは、多少坂道が多かったりしますが…
神戸はもうちょっと勾配がきつい感じでしたね。


もちろん、坂の多い町を見たことが無かったわけではありません。
友人が仙台市の青葉区に住んでいましたし
親戚が奈良の生駒という所におりまして、そこも坂の多い町です。

しかし、今回長田に初めて訪れ、
改めて「坂の多い土地は、そもそもが死角の多い町になる」という事を
痛感しました。

「物理的死角が多い」というのは、
犯罪機会論で言うと「犯行の機会が多い」という事でもあります。



もちろん、悪いのは「町」ではありません。

土地には罪はないのです。
広島の土砂災害からも分かるように、
海と山間が迫っているような、急勾配の土地に人が住むためには、
それ相応の危機管理能力の向上が求められます。
「危険だ」と分かっているのなら、そのための知識と準備を、人間の方がするべきなのです。


***


神戸市の長田区で、
2014年今年の9月11日に起きた、生田美玲ちゃん殺害事件。
被害者の自宅も逮捕された君野容疑者の自宅も、美玲ちゃんの通う小学校も、声かけ現場も、遺体遺棄現場も、とても限定された狭い地域にあります。

車で、海沿いの高速道路から有馬電鉄の長田駅を目指して来て、
たった十数分で現れる、急な上り坂にまず驚きました。
車のボンネットから先に、空が見えるほどの坂がいくつかあります。
つまり、急坂の向こうに、平地がちょっとあって、また急坂…というような場所です。

有馬電鉄の長田駅の近くにそびえ立っているビルがあったので
何かと思ったら、住宅でした。
その谷間に、公園が見えますが、歩道が低い場所にあるため公園内部は見えません。
まさに、坂のお陰で死角があちこちに出来ているのです。


車を停めて、散策してみました。

ひったくり注意

声かけ現場の向かい側にある駐車場には
「ひったくり注意!」の看板がありました。
画面中央の、黄色い縦の看板です。
つまり、この区間では実際に、ひったくりが起きている…ということ。
それだけ「見えにくい場所」であるという事の証明でもありますね。


実はこの駐車場の向こうは切り立った崖のようになっていて
面している道路は大きく山肌に沿って右へカーブしています。
この地点は、カーブの頂点にあたります。
つまり、道路上で起きる出来事を見ている視線は、
反対車線側にあるマンション、それも山の上の方にある建物からのものしかありません。
道路上で何か起きていても、それを山側のマンションの上から見ていて万一気付いても、何が出来るでしょうか?
通報するのが精一杯で、助けに駆けつける事などほとんど期待出来ません。
マンションからの人の視線は、ひったくりのような一瞬の犯罪に対する抑止力とはならない、ということです。

バス停の下

分かりにくいですが、
二枚目の写真は、1枚目の写真のちょっと先です。
1枚目の写真左にある駐車場を過ぎると、すぐに左側に降りる階段が現れ、数メートルも下に道路と住宅街が見えて来ます。
この、階段を下りて左に折れた場所に銭湯があり、加害者はその辺りで被害児童に声をかけた…と供述しています。


この声かけ現場では、目撃証言は出ず、近くにあったコンビニの防犯カメラに
被害者と加害者が映っていた…と報道されていました。
(ですが、声かけ現場とコンビニは、道路のあちら側とこちら側なのです。被害児童はこの道を行ったり来たりしていたということですが、加害者がその間、被害者のそばを長時間、歩いていたのではないか、と思われます)

崖の下にある道路で「絵のモデルにならないか」と声をかけて、
その子が「いいよ」と言ってついて来た。
供述通りであるなら、その声かけの一瞬は、あの場所であれば誰も気がつかないのではなかろうか。
そう思える場所です。
被害児童がまだ暑い9月上旬に、一人で日傘をさして町を何時間も歩き回っていた…という沢山の目撃証言は出ているのに、加害者との接点を見ていた人が誰もいなかったのは、どうしてなのか。

答えは、この景色の中にある、と思わずには居られませんでした。




どうしても事件の報道では「加害者がどんな人物だったのか」という点にばかりスポットが当てられますが、犯罪機会論を応用した防犯では、加害者の事は話題にしません。
「誰が犯人か?どうして犯罪を起こしたのか?」と考え出すと、
誰も彼もが悪い人に思え、不信感の塊になります… 人を疑い出すと、マイナスなことばかりです。

ですから、このブログでも加害者の事は考えません。

「なぜこの景色の中で、子どもが被害に遭ったのか」という事を考えます。




「坂の多い町」には、物理的な死角が必然的に生じてしまう。

では、そういう地形の町に合った防犯対策を、
その町に住む子どもたちに与えるのが、大人の役目ではないでしょうか。

我が故郷の町で、安心に行きて行くためには、
その土地の地形に合った防犯を、土地の人が学び、
子どもたちに伝える。
そうしなくては自分の故郷を愛する事なんか出来ません。

私も、幼少時代に痴漢に遭うことの多かった自分の町が、今でも嫌いです。
勇気を出して、痴漢に出会った場所を見て歩くと、
なんと自分には「犯罪者の好きな場所が見えていなかったのだろう」と
涙が出るほど悔しくなる。
犯罪機会論の歴史は1960年代の欧米が発祥で、海外でもその後に普及して行ったので、昭和40年代の日本にその概念がなくても仕方がないかもしれません。
ですが、今、私はその学問を知っている。
知ってしまった以上、幼い時の私のような不幸な子どもを増やさないために、それを伝えなくてはなりません。

人さらいや変な人に気をつけなさい、というだけでは、
土地の形状が招く物理的死角、犯行のチャンスを回避する事が出来ません。

土地の形状、特徴に見合った防犯対策と、その知識とを、子どもたちに教えたい。
人を疑わず、郷土を愛する心を育むためには、
故郷を、その幼少時の酷い体験のために憎むような、悲しい子どもを増やさないためには、犯罪機会論を使った防犯教育がぜひとも必要なのです。



◆ 次回は、この町の、物理的死角に出来た「犯罪者の好きな場所の証拠」を取り上げます。





※ この記事は、事件と町の方々に配慮して細心の注意の元に書いています。 「町」や「そこに住む人」が悪いのではない、ということを再度念頭に置きお読みくださいますと幸甚です。









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フルタイムで働く母親の日常「あるある」を動画化した作品

http://youpouch.com/2014/12/03/240299/?utm_medium=partner&utm_source=mixi


会社帰りに熱を出した我が子を、保育園へ急いで迎えにいくシーンから始まるこの動画。

夫婦2人で子育てしようと言っていたのに
いつの間にかお迎えは自分の仕事。
子どもが病気になったら何もかも予定が狂うのだけど、
会社には迷惑かけられないし、誰にも頼れない。
子どもも心細いだろうけど、私だって心細い………

でも「きっと、大丈夫」。

がんばるからね、ママ。




そんなメッセージの動画なのですが…


かつて、NTT出版さんの本の原稿を書いていたとき、
虐待防止活動の前線で戦っておられる保健師さんにお話を聴いた事があります。

励ます方は、「大丈夫」って言う言葉を使いがちだけど、
ただ「大丈夫ですよ」って言うだけでは効力は低い。

「どうして大丈夫なのか、根拠を示さないと、『大丈夫』と言われても『大丈夫』とは思えないもの」だそうです。


確かに。



この動画は、「私も頑張ろう、みんな大変なんだし」という気持ちにはなっても
「じゃ、明日起きるかも知れないトラブルに対しての安心」はどうなるのか、というと
まったく見通しが立たないままです。
そこでメッセージも終っているようなのです。

これじゃ、不安は尽きませんよね…


「大丈夫」という言葉。

どうも安易に子どもにも言いがちですが、
「なぜ大丈夫と言えるのか」を説明出来て初めて、
大丈夫なんだ、って思えることを忘れないようにしたいものです。




プロフィール

内野 真 (うちの まこと)

Author:内野 真 (うちの まこと)
****************


私は、いつも探していました。
「性犯罪」の被害から、
子どもを未然に守るための方法を。

でも、苦労して探しても、なかなか無いんです。

例えば、本。

「性犯罪被害」を防ぐために何が有効なのか?
「犯罪」 「防犯」 「防止」 「方法」 など、キーワードを色々変えて検索するのですが、行き着く所は何か違うものばかり。

大概、2つに分かれます。


内容的にきちんとした本だと、学術書や体験談、
「性犯罪被害を乗り越える」という内容のものに行き着きます。

でも、それは、勇気ある告白本だったりして、読むにも覚悟がいるものが多いのです。
被害に遭ってしまうとこれほどまでに大変なのか、と凹んでしまったり。
被害の現状を放置したままの社会に、怒りを覚えることもあります。
明日は我が身。そう考えれば気持ちは引き締まる。

でも、被害を未然に防ぐためには?……と考えると、そのことは書かれていません。


「性犯罪」「被害」「防止」で行き着くもうひとつの端は、
「性犯罪をエンターテイメントとして描いたもの」。
つまりアダルト作品。
これはお話しになりません… 

アダルト作品は、性犯罪の加害や被害を、娯楽のモチーフとして扱います。
被害の防止とは、正反対の内容です。

うーん……。
これは、どう言うことなんでしょうか。



子どもに加えられる「犯罪」には、以下の3つのタイプがあります。

1. 殺害や、痛めつけることを目的としたもの
2. わいせつ・強姦などが目的のもの
3. わいせつ・強姦までは行かないが、身体的接触(手を握ったり膝に乗せたりするなど)や、ドライブなどで満足するもの(ただしこれは、子どもが騒いだり嫌がったり逆らったりすることが原因で犯人を逆上させてしまい、その結果、殺害等に結びつく場合がある)

一番多く発生しているのは、3番です。

2番・3番の「わいせつ・強姦など」つまり性犯罪は、子どもに降り掛かる加害行為の中でも、大多数を占める、といえます。

幼い子どもは「性」の意味も、自分に備わっている性器の役割も、世の中に氾濫する「性に対する見方」も、その意味も、何も知りません。
それをいいことに不当にその性を蹂躙する、搾取する。
それが、性犯罪。
強姦がなくても、立件出来ないような行為だけでも、子どもの心には深い傷が残ります。

想像力のない人たちは「性的いたずら」という言葉を使いますが、被害当事者から見れば、なにが「いたずら」なものですか。

成長してから、されたことの意味を悟り、幾重にも傷つくことからこの被害は「時限爆弾」「魂の殺人」とも言われるのです。


どうにかして、性的被害から子どもたちを守りたい。
それも、未然に、です。

性的に嫌な思いをさせることも、可能な限り防ぎたい。
幼い頃の、幸せな思い出の中に、そんな記憶はいりません。

ずっと忘れていたけど、そういえば…小さい頃、こんなひどいことがあった。こんな嫌な思いをした。…そういう記憶を持つ女性が、どれだけ多いか、知っていますか?
それが、どれだけの人を精神的に苦しめているか、知っていますか?


「性」を守ることは、「人」そのものを守ること。

我が子の命を守ること、と同義です。

我が子のために、食べ物について学ぶ事と同じ。
学問を身につけるのとも同じです。
お子さんの身体、心を守る方法を知ることは、
「食育」や「知育」と同列、「子育て」そのものでもあります。


いわば「守り育て」。


性犯罪から心と身体を守りつつ育てること。


それを、私はこう呼ぶことにしました。
「守育(しゅいく)」。

「知育」
「食育」
「守育」
ほら、命を守るために、どれも必要なものでしょう?

その方法を、一緒に模索していきましょう。<内野  真>



******************

◆1965年生まれ。埼玉県さいたま市在住。立正大学文学部社会学科小宮信夫教授に師事。
3人の息子を育てつつ、脳動静脈奇形部破裂のため脳障害・認知症を患う実母を介護しています

◆子どもの安全対策コーディネーター/NPO法人地域安全マップ協会理事長/イラストレーター及びライター、声優としても活動歴有り
◆さいたまNPOセンター主催「子どもの防犯力アップ出前教室」インストラクター養成講座講師
◆防犯・防災のラジオ番組「魔法の言葉」配信中(リンク参照)
◆「景色を読み解く」カンタン講習会 講師(下校時安全パトロールの時間を利用した1時間程度の町歩き防犯指導)※当ブログの2014年11月26日の記事参照。<随時申し込み受付中です>


◇出 版 物

<著書>

◆「子どもを犯罪から守る 犯罪被害当事者による子どもを被害者にも加害者にもさせない方法」/明石書店  
◆「いかのおすし」絵本(制作・監修) /防犯用品(株)コンツナ 
http://ikanoosushi.com/new1.html←コチラから動画でご覧になれます 

<共著>

◆「地震からわが子を守る防災の本」国崎信江著/内野真・漫画/リベルタ出版 
◆「我が家の防災対策」作/国崎信江、挿絵・コメント/内野真  信濃毎日新聞  2001〜2002年
◆「まんが 防犯・防災・協力店マニュアル」埼玉県石油業協同組合発行/大倉優原作/内野真・作画 
◆「安全はこうして守る 〜現場で本当に役立つ防犯の話〜」小宮信夫編著/内野真(ファイル21寄稿・本文挿絵・表紙画)/株式会社 ぎょうせい 
◆「子どもたちの叫び 〜児童虐待・アスペルガー障害の現実〜」内野真・尾崎ミオ著/NTT出版 など

<教材>

◆「じしんがきても まけないよ!」地震紙芝居/原案・国崎信江/画・内野真/学研 
◆「子どもの安全カルタ」NPO法人子育てサポーター・チャオ編/東京法規出版(防犯・防災・事故予防の入門編カルタ。監修/小宮信夫、子どもの事故予防情報センター牧田栄子、作画・編集/内野真)
◆「子どもの防犯力アップ出前教室」フリップ(イラスト・監修) など


◇講演会実績等

2005年
東京成徳短大高等部幼児科講話
越谷市赤ちゃん連れ遊び場マップ作製指導

2006年
埼玉県児童館活動活性化モデル事業 
 子どもの安全対策サロン講師
埼玉県宮代町子ども会・自治会主催
 地域安全マップ作製指導協力
婦人公論4/7号 
 子どものための防犯特集記事寄稿
埼玉県越谷市北越谷公民館講演会
千葉市高州保健センタ—保健師研修会 講話
子どもの安全に関するアンケート解説書作成
 (NPO法人子育てサポータ—・チャオ編)

2007年
越谷市南越谷公民館
地域安全マップ作製指導協力
豊島区子ども家庭部子ども課 
 保育士研修 講演会
越谷市花田小学校5学年 学年活動 講演会
神奈川県相武台総合学習センター講演会   
神奈川県警察学校連絡協議会 講習会講師
 少年のみちびき 寄稿文
広島県安心安全アカデミー 講演会
さいたま市仲町小学校 講演会

2008年
練馬区ほうや幼稚園 講演会
愛知県刈谷市 CAPNA主催講演会講師
千葉県市町村アカデミー 講習会講師
越谷NPOセンター主催 講演会
練馬区立大泉第六小学校 講演会

2009年 
練馬区立八坂小学校 講演会
練馬区教育委員会委託
子ども安全安心学習講座 講師
練馬区立関町小学校 講演会
越谷市中央市民会館 講演会
越谷市大沢公民館 講演会 
練馬区立大泉第三小学校 講演会
練馬区立富士見台小学校 講演会

2013年
【内野真生の魔法の言葉】
 ラジオパーソナリティー 
地震だ!だんだんだんごむし!
  DVD(kirakira作製)/声の出演
さいたまNPOセンター 
 子どもの防犯力アップ出前教室
 インストラクター養成講座講師 

2015年
松戸市立常磐平第二小学校家庭教育学級講演会
NPO法人ながれやま子育てコミュニティなこっこ主催防犯講演会
など多数




<講演会・執筆等のご依頼について>

◆随時受け付けておりますが、必ず当ブログ記事をお読みになった上でお願いいたします。
◆ご依頼方法
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