FC2ブログ
HOME   »  2016年08月
RSSフィード iGoogleに追加 MyYahooに追加
東京都の某所で、
ある犯罪の事件現場を訪れました。



現場は、
誰もが通行可能な歩道の一角。
幹線道路を越えるために作られた歩道で、現場は高い壁に囲まれた一本道の曲がり角でした。
上空を見上げても、見える建物はラブホテルが一軒だけ。
現場へは、緩い上り坂になっているその歩道をずっと奥に進まないと到達しません。
上からは幹線道路を通る車の音が降ってきて、
助けを求める声は簡単にかき消され……。


淡々と事件の概要を説明してくれる関係者の声が、すぐそばにいても聞き取れない。

同行した犯罪社会学教授も、防犯コンサルタントNPO代表も
押し黙っていました。


その他の、詳細な状況は書けませんが。


前日の雨に濡れたままの現場の壁…
晴天の午後の陽光の中にボトリと陰を落としたその歩道の一角は
被害者の恐怖とか無念とか羞恥とかがべったりと血糊みたいに残っているような気がして…
人としての尊厳を奪った『怪物』のように見え………

私は思わず、立ちすくんでしまいました。
幼い頃、私も似たような事件に巻き込まれたことがあり、
その記憶が吹き出した所為でもあったのかもしれません…




その日は、子ども達が自分で町中を歩いて犯罪の起きそうな場所を見つけたり、地域の人にインタビューをして安全な場所を探してマップを作る授業でした。

その地域からほんの十数分離れた場所。

正直、そこは子ども達が粗暴犯に遭遇する事件よりも、
性犯罪被害の方が深刻な地域なのだそうです。



関係者は、被害者が犯罪の起きやすい条件の場所についての授業を受けていたら違ったのでしょうに、と言っていましたが……

もちろん、その事件の被害者が子ども時代に「入りやすくて見えにくい」場所を探す体験をしていても、この事件を100%回避できたとは限りません…。状況を聞くと、幾つもの不運が重なった末の悲劇だったのです。



本当に、子どもや女性をこういう事件から守るためには、
もちろん本人にも、犯罪に遭いそうな条件の場所を避けるための能力が必要だし(そのためにはたくさんの情報が要る。それを親が与える必要がある)、
幾つもの不幸なタイミングを生み出さないための、
本人以外による工夫や改善が必要です。


防犯カメラを付けるべき場所でした。
行政が、PTAが、地域を回って犯罪社会学理論の提案に基づいて危険な場所を抽出し、物理的に前もって改善を施すべき場所でした。

そもそも、危険な条件の重なるあんな歩道を設計してはいけなかったのです。
………これは、都市計画が担うべき仕事ですが。

でも、
設計段階で、施工段階で、
そして完成後も、それに気付く人がいなかった。

ここに見えてくるのは、
都市計画等と防犯教育等の接点がまったくない、という事実です。



防犯教育だけでは、
犠牲者はいなくならない。
また、都市計画に基づく対応だけでも犠牲者はいなくなりません。
またもちろん、この2つだけが犯罪を減らす方法ではないです。

「都市計画」
「保育」
「教育」
「心理学」
「加害者研究」

………とかこんな風に、命を守るために必要な知恵をジャンル分けしてしまった学者達にも責任があります。

お互いの領分を守るために、
必要な情報を分かち合うことをせず互いを批判しあう学者達。
専門家、研究家だというのなら、机上でものを語るだけではなく、犠牲者の思いが澱のように淀んで残る犯罪現場に足を運び、その恐怖や無念や挫折を「何度でも」実感するべきなのです。
そして、横に手をつなぐ緊急性を切実に感じて頂きたい。




「入りやすく見えにくい」場所を探す教育は、
次の5分間に犯罪に遭うかもしれない子どもの安全を守る可能性がありますが、子ども達が「その場所」に気付けなかった場合、運悪く犯罪に遭遇するのを防ぐことはできません。

大人達による町中の点検は、まだ被害にあっていない子ども達を守り、被害にあってしまった子が同じ場所で嫌な思いをすることを防ぎますが、時間がかかるために次の5分間に事件に遭遇する子ども達の力にはなれません。

同様に防犯グッズなど直接身を守るものにも長所と短所がありますが、ないよりは持っていた方が安全。
家族や親戚、顔見知りの人から受ける犯罪をかわすための知恵、
命の大切さを感じる体験などは、絶対にあったほうが得です。

……どれもすべて、一つだけでは足りません。
全部が大切な知恵と知識です。


着る服をコーディネートするように、
一人一人にあわせた、命と尊厳を守る知恵と知識を
トータルにコーディネートするべきではないでしょうか………?






なんて、突如小難しいことを書いたはいいけれど…


犯罪現場ではそんなこと全部、
頭から消えていました。
ただひたすら痛みが走る。



この「痛み」を忘れてはいけない、と
辛いながらも痛感したのでした。
スポンサーサイト



最近は、もうずいぶん現場指導にもご無沙汰してしまっていますが……(主に、体力的なものが原因で)


地域安全マップ指導をしに学校へ行くと、
印象深いお子さんに3回に1回くらい出逢います。

大体、小さかった頃の自分に感じの似た子がね、
印象に残る。
一見ガサツ(ボーイッシュ?)で、生意気なんだけど
10分で「あ、かまって欲しいんだ」って分かる、
そんでフィールド・ワーク(約90分)から帰って来ると
ちょっと傍にいる。
昼ご飯の間も、何気に傍にいる…
目を見て話すと目を逸らすけど、目を見て欲しいとわかる。
で、だんだんべったりしてくる…

最後に、すごくべったりしてきて、
帰っちゃやだ、って言うこともある。



一日付き合って、マップの指導をする時は、
こちらは彼等・彼女らを絶対否定しません。
出してくれた意見は、全部間違いじゃない、
発言してくれた事自体を褒めるし、何かに気づいたら
すっごく褒める。
誰一人、充分褒められなかった子がいないように、私はそれはそれは
気を遣います。

忘れられない子というのは、
なんだか体全体で何かを発してる子かな。

以前、こんな子に会いました。

給食を一緒に食べながら突然、「お父さんが嫌いな人っているかなあ?」って
質問して来た。
なんで?と気軽に聞いたら、
「あたしは大っきらい。ベタベタ触るし、布団の中にも入って来るし、死んじゃえばいい」…と。

私、頭まっ白。

でも、もちろん、防犯やってるものとして…
こういう場合のベストな対応をしましたが。
聞きっぱなし。
聞き出さない、否定しない。
励まさない。
私に言ってくれてありがとうね。
お父さんのこと、嫌いなんだ。そうなんだねえ。
そういう人もいるかもね。でも、あなたは悪くないよ。



担任の先生がたまたま、すごく分かってくれそうな女性の先生だったから
やんわりと伝えましたが、もしも若い男性の担任だったら、私も言えなかったかもしれません。

状況判断が必要だなあ、ってすごく思う…
へたに大人に伝えると、メチャクチャになってしまうこともあるからな…。


でも、
その子にとってマップを学校でやって、
否定されない一日を送れたことって、
すごくいいことだったんじゃないか。



大抵は、はちきれんばかりに元気な子どもたちの集団。
危険な場所はこんなところだよ、
こういう場所を避けようね、ってずーーっと教えて行く。
声も嗄れるし、めっちゃくたびれる……楽しいけどね、私はもう、年寄りなんで身体が大変(苦笑)。

でも、その中に混じってる、
「自分の持ってる気持ちは肯定されるべきなんだろうか、
いけないことなんだろうか…」って迷いながら生きてる子に出逢うと、
小さかった時の自分を思い出すんですよね……。


その子を、助けたとか、
そんなおこがましいことは思いません…

でも、自分が小さかった時、目を見て話してくれて、
発言したことを「そうだね、よくわかったね」と言ってくれた
教育実習の先生のことを(たった1日だったけど)私も今でも
忘れていない。

その頃の自分は、両親が離婚して来たくもない土地に来たばかりで、
クラスメイトからはいじめられていた上に、担任には「手のかかる忘れ物の多い子」と、疎まれていた。

私の目を見て、「そうだね、よくわかったね」と言ってくれた、
あの一瞬で、私はあの教育実習の先生を「信用」したもの。
抱えている何かを、言えるかもしれないと思ったもんな。



その人がその日こっきりだけの関係だったとしても、
ああいう気持ちを持てたこと、その記憶はずっと残って、
何かの時に力になった。


マップの授業で出逢う子の中に、
何十人かに一人だろうけど、
そのたった一人にでも(たった1回だとしても)
そういう記憶を残せた、というのが私は嬉しくて
マップに関っているのかもね、と思うのです。


……あの子たちは、今、どうしているかな。
プロフィール

内野 真 (うちの まこと)

Author:内野 真 (うちの まこと)
****************


私は、いつも探していました。
「性犯罪」の被害から、
子どもを未然に守るための方法を。

でも、苦労して探しても、なかなか無いんです。

例えば、本。

「性犯罪被害」を防ぐために何が有効なのか?
「犯罪」 「防犯」 「防止」 「方法」 など、キーワードを色々変えて検索するのですが、行き着く所は何か違うものばかり。

大概、2つに分かれます。


内容的にきちんとした本だと、学術書や体験談、
「性犯罪被害を乗り越える」という内容のものに行き着きます。

でも、それは、勇気ある告白本だったりして、読むにも覚悟がいるものが多いのです。
被害に遭ってしまうとこれほどまでに大変なのか、と凹んでしまったり。
被害の現状を放置したままの社会に、怒りを覚えることもあります。
明日は我が身。そう考えれば気持ちは引き締まる。

でも、被害を未然に防ぐためには?……と考えると、そのことは書かれていません。


「性犯罪」「被害」「防止」で行き着くもうひとつの端は、
「性犯罪をエンターテイメントとして描いたもの」。
つまりアダルト作品。
これはお話しになりません… 

アダルト作品は、性犯罪の加害や被害を、娯楽のモチーフとして扱います。
被害の防止とは、正反対の内容です。

うーん……。
これは、どう言うことなんでしょうか。



子どもに加えられる「犯罪」には、以下の3つのタイプがあります。

1. 殺害や、痛めつけることを目的としたもの
2. わいせつ・強姦などが目的のもの
3. わいせつ・強姦までは行かないが、身体的接触(手を握ったり膝に乗せたりするなど)や、ドライブなどで満足するもの(ただしこれは、子どもが騒いだり嫌がったり逆らったりすることが原因で犯人を逆上させてしまい、その結果、殺害等に結びつく場合がある)

一番多く発生しているのは、3番です。

2番・3番の「わいせつ・強姦など」つまり性犯罪は、子どもに降り掛かる加害行為の中でも、大多数を占める、といえます。

幼い子どもは「性」の意味も、自分に備わっている性器の役割も、世の中に氾濫する「性に対する見方」も、その意味も、何も知りません。
それをいいことに不当にその性を蹂躙する、搾取する。
それが、性犯罪。
強姦がなくても、立件出来ないような行為だけでも、子どもの心には深い傷が残ります。

想像力のない人たちは「性的いたずら」という言葉を使いますが、被害当事者から見れば、なにが「いたずら」なものですか。

成長してから、されたことの意味を悟り、幾重にも傷つくことからこの被害は「時限爆弾」「魂の殺人」とも言われるのです。


どうにかして、性的被害から子どもたちを守りたい。
それも、未然に、です。

性的に嫌な思いをさせることも、可能な限り防ぎたい。
幼い頃の、幸せな思い出の中に、そんな記憶はいりません。

ずっと忘れていたけど、そういえば…小さい頃、こんなひどいことがあった。こんな嫌な思いをした。…そういう記憶を持つ女性が、どれだけ多いか、知っていますか?
それが、どれだけの人を精神的に苦しめているか、知っていますか?


「性」を守ることは、「人」そのものを守ること。

我が子の命を守ること、と同義です。

我が子のために、食べ物について学ぶ事と同じ。
学問を身につけるのとも同じです。
お子さんの身体、心を守る方法を知ることは、
「食育」や「知育」と同列、「子育て」そのものでもあります。


いわば「守り育て」。


性犯罪から心と身体を守りつつ育てること。


それを、私はこう呼ぶことにしました。
「守育(しゅいく)」。

「知育」
「食育」
「守育」
ほら、命を守るために、どれも必要なものでしょう?

その方法を、一緒に模索していきましょう。<内野  真>



******************

◆1965年生まれ。埼玉県さいたま市在住。立正大学文学部社会学科小宮信夫教授に師事。
3人の息子を育てつつ、脳動静脈奇形部破裂のため脳障害・認知症を患う実母を介護しています

◆子どもの安全対策コーディネーター/NPO法人地域安全マップ協会理事長/イラストレーター及びライター、声優としても活動歴有り
◆さいたまNPOセンター主催「子どもの防犯力アップ出前教室」インストラクター養成講座講師
◆防犯・防災のラジオ番組「魔法の言葉」配信中(リンク参照)
◆「景色を読み解く」カンタン講習会 講師(下校時安全パトロールの時間を利用した1時間程度の町歩き防犯指導)※当ブログの2014年11月26日の記事参照。<随時申し込み受付中です>


◇出 版 物

<著書>

◆「子どもを犯罪から守る 犯罪被害当事者による子どもを被害者にも加害者にもさせない方法」/明石書店  
◆「いかのおすし」絵本(制作・監修) /防犯用品(株)コンツナ 
http://ikanoosushi.com/new1.html←コチラから動画でご覧になれます 

<共著>

◆「地震からわが子を守る防災の本」国崎信江著/内野真・漫画/リベルタ出版 
◆「我が家の防災対策」作/国崎信江、挿絵・コメント/内野真  信濃毎日新聞  2001〜2002年
◆「まんが 防犯・防災・協力店マニュアル」埼玉県石油業協同組合発行/大倉優原作/内野真・作画 
◆「安全はこうして守る 〜現場で本当に役立つ防犯の話〜」小宮信夫編著/内野真(ファイル21寄稿・本文挿絵・表紙画)/株式会社 ぎょうせい 
◆「子どもたちの叫び 〜児童虐待・アスペルガー障害の現実〜」内野真・尾崎ミオ著/NTT出版 など

<教材>

◆「じしんがきても まけないよ!」地震紙芝居/原案・国崎信江/画・内野真/学研 
◆「子どもの安全カルタ」NPO法人子育てサポーター・チャオ編/東京法規出版(防犯・防災・事故予防の入門編カルタ。監修/小宮信夫、子どもの事故予防情報センター牧田栄子、作画・編集/内野真)
◆「子どもの防犯力アップ出前教室」フリップ(イラスト・監修) など


◇講演会実績等

2005年
東京成徳短大高等部幼児科講話
越谷市赤ちゃん連れ遊び場マップ作製指導

2006年
埼玉県児童館活動活性化モデル事業 
 子どもの安全対策サロン講師
埼玉県宮代町子ども会・自治会主催
 地域安全マップ作製指導協力
婦人公論4/7号 
 子どものための防犯特集記事寄稿
埼玉県越谷市北越谷公民館講演会
千葉市高州保健センタ—保健師研修会 講話
子どもの安全に関するアンケート解説書作成
 (NPO法人子育てサポータ—・チャオ編)

2007年
越谷市南越谷公民館
地域安全マップ作製指導協力
豊島区子ども家庭部子ども課 
 保育士研修 講演会
越谷市花田小学校5学年 学年活動 講演会
神奈川県相武台総合学習センター講演会   
神奈川県警察学校連絡協議会 講習会講師
 少年のみちびき 寄稿文
広島県安心安全アカデミー 講演会
さいたま市仲町小学校 講演会

2008年
練馬区ほうや幼稚園 講演会
愛知県刈谷市 CAPNA主催講演会講師
千葉県市町村アカデミー 講習会講師
越谷NPOセンター主催 講演会
練馬区立大泉第六小学校 講演会

2009年 
練馬区立八坂小学校 講演会
練馬区教育委員会委託
子ども安全安心学習講座 講師
練馬区立関町小学校 講演会
越谷市中央市民会館 講演会
越谷市大沢公民館 講演会 
練馬区立大泉第三小学校 講演会
練馬区立富士見台小学校 講演会

2013年
【内野真生の魔法の言葉】
 ラジオパーソナリティー 
地震だ!だんだんだんごむし!
  DVD(kirakira作製)/声の出演
さいたまNPOセンター 
 子どもの防犯力アップ出前教室
 インストラクター養成講座講師 

2015年
松戸市立常磐平第二小学校家庭教育学級講演会
NPO法人ながれやま子育てコミュニティなこっこ主催防犯講演会
など多数




<講演会・執筆等のご依頼について>

◆随時受け付けておりますが、必ず当ブログ記事をお読みになった上でお願いいたします。
◆ご依頼方法
最新記事(カテゴリーは問いません)のコメントに「管理者にだけ表示を許可する」の項目にチェックを入れ、お名前・所属・ご連絡先を明記ください。折り返しこちらからご連絡いたします。日中はメールチェックが出来ないためお返事が遅くなる場合もございますので、日程に余裕を持ってご相談ください。

検索フォーム
QRコード
QR

Page Top
CALENDaR 12345678910111213141516171819202122232425262728293031